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ひとりの大学生が出版社を設立した話

更新日:3月20日



2020年に当時大学4年生だった竹井がひとりで設立した出版社「出版社ブルーモーメント」。これまでに「生き方」シリーズなど計7冊の本を出版し、女性から絶大な支持を獲得しています。今回は、そんな出版社ブルーモーメントの設立の背景や、創立者である竹井自身の持っているこだわりや、これからの目標などを、インターン生Aが伺っていきます!


1)設立の経緯



インターン生A)出版社ブルーモーメントはいわゆる「ひとり出版社」ですが、なぜひとり出版社を設立しようと思ったのか、きっかけや背景を教えてください。


竹井)当時、大学4年生だった私はあるペンネームで美容とかダイエットに関する発信をInstagramでしていました。その中で、すごく不満が募ったんです。「美しい体型」とか「美しい人」に正解があるような気がして。それをかなり追い求めてしまって、過度に行動に制限をかけてしまう時期が続きました。

そんな風に美しさや体型にとらわれてしまっていたとき、作家をしている母が書いていた「女性の生き方シリーズ」を初めて読みました。その中の、女性たちの言葉だったり生き方だったりが心に刺さって、「美しさには正解がないんだ」っていうことを改めて実感し、だんだんと心の健康を取り戻しました。

それから、本当に「この本を世の中のもっともっと多くの人に届けたい、いや届けるべきだ。」と思い、そのためにより良い形で本を世の中に届けるために出版社を起業しました。


 

インターン生A)「本をより多くの人に知ってもらう」という目的のためには、もっと簡単な方法がさまざまあると思いますが、なぜ「出版社の起業」という手段を選択したのでしょうか?


竹井)本を読まない人たちが増えている中で、読んでもらうために本の外見を飾ったり、読んで貰えるようなプロデュースをしたり、といったようなことが必要だと考えているからです。SNSで紹介しているということと少し被る部分もあるのですが、それ以上に、中身にも改良を施していくことで、より多くの人に届けたいなと思いました。

最初はそれこそ既存の出版社でインターンをするというようなことも考えたのですが、やはり自分の実現したいことを実現するためには自分で0からやるしかない、ということが当時の私が出した結論です。


 

インターン生A)「らしさを肯定し、らしく輝く」というコンセプトの由来や、込められた想いについて教えてください。


竹井)私が起業して1~2年のころは、「ありのままの自分を愛する」ということがトレンドになった時期でした。そういった言葉が氾濫していた中で私は、本当に苦しんでいる人たちからしたら、やはり「ありのままの自分を好きになる」なんてことは、どうしても綺麗事に聞こえてしまうし、逆に「綺麗になりたい」とか、「理想の自分に近づきたい」といった努力自体を否定してしまっているような気がしていたんです。なので、私は「綺麗になりたい」とか「痩せたい」という気持ちがあることも否定するべきではないし、その想い自体も認めたいというところから、「ありのまま」「現状維持」を肯定するというよりかは、自分の気持ちとか、葛藤を含めて「らしさ」自体を肯定したいという想いを当時はこの言葉に込めました。


2)出版社ブルーモーメントの現在


インターン生A)設立してからの約3年半を振り返ってみて、率直な感想をお聞かせください。


竹井)もちろん良い面も悪い面もあったのですが、凄く嬉しかったのは、「ブルーモーメントの本が、初めて手に取る本」というお客様が凄く多かったことです。これはブランドを運営してみて得た発見でもありますし、本当にとても嬉しかったことでもあります。それこそ、若い人たちが本を読まないという課題を解決していきたいと思ってきた中で、最初のきっかけは「映える」とか「TikTokで良い感じに映っていた」とか、「インテリアとしてもよさそう」とかでも、そこから「本」というものに触れて、それを好きになってくれた若いお客様が多かったんです。本当にそこが、生きがいでもあるし、続けてきて良かったことでもあります。

ただ、逆に出版だけで食べていく難しさもとても強く感じています。これは出版社以外も、例えば作家さんとか印刷会社さんも含めてです。あまりにも本の単価が低すぎること、そして本が売れなくなってきていること、資材価格の高騰によって、これだけで生活していくことの難易度の高さっていうのは、利益率の低さとか、印税の高さも含めて、今でもすごく実感しています。そのため、価格を変える以外の面でも、なにかこの課題点を変えていく必要性が業界全体としてあるんです。私がその先駆者になりたいというのは、今でも強く思っています。


1番人気がないのですが、『特別な存在になりなさい ジャクリーン・ケネディという生き方』が一番好きです(笑)。何度も読んでいます。経営をしていると自分の弱さと向き合わなければいけない場面も多いし、それ以上に自分を奮い立たせなければならない場面が本当に多くて。そんなとき、ジャクリーンに似ている部分を見出して元気づけられていました。シャネルなんかは元々の強さがあったという印象を持っていたし、マリリンやオードリーも、努力も勿論あったとは思うのですが、やっぱり精神面以外の強さを持っていたと感じるのですが、ジャクリーンは圧倒的な努力と、圧倒的な自分への自信で成長してきた人なので、自分と重ねてパワーを貰っています。


インターン生A)ひとり出版社を運営していく中で、最も印象的に残っている出来事について教えてください。


竹井)やっぱり一番印象的なのは、一番最初に『あなたの繊細さが愛おしい マリリン・モンローという生き方』と『それでもあなたは美しい オードリー・ヘップバーンという生き方』を刊行したときです。ずっと昔から行きつけの本屋さんがあって、悩んだときとか、辛いときとか、人生の岐路に立ったときとか、常にその本屋さんに3時間くらい居座るという少し迷惑な(笑)行為をしていたのですが、そんな馴染みの、とても大切な書店さんが、発売日にブルーモーメントの本を棚一面に展開してくれたんです。それを母と一緒に見に行ったのですが、とても嬉しくて。それこそ中学生、高校生、大学生とこれまでの自分や、目の前に広がるブルーモーメントの棚の光景が合わさって凄く感動してしまって。この瞬間は出版社として一歩踏み出した経験でもあったし、今でもその感動というか、初心は忘れないようにしようと心に決めている光景です。


インターン生A)現在の出版社ブルーモーメントをひとことで表すとしたら、どんな言葉が当てはまりますか?


竹井)「出版社というよりもアーティストに近い会社」だと思っています。会社の規模が小さいというのもそうですし、母と一緒に本を作っているのですが、まるでアートを制作するように本を作っているんです。「アートを制作するように」というのは、ただ響く言葉を作るというだけでなく言葉の響きを具体的につくったり、タイトルや装丁を考える中でも感性を尖らせながら対話を重ねてつくったりと、そういった意味です。1冊の本を出版するまでのこだわりの詰め方も尋常ではないと自負しているので、本当に出版社というよりはアーティストチックな会社だな、と。


 

インターン生A)設立当初と現在で、心境などに大きな変化はありますか?


竹井)大きな変化はありません。逆に、設立当初の初心を取り戻したいな、と思っています。設立当初はお金が無くて、梱包作業や発送作業も自分で0からやっていたり、本当に細かい部分に込めたこだわりまで発信することが出来ました。しかし、今は事業も拡大し、有難いことにたくさんご購入いただいているというのもあって、自分の手を離れる作業が増えてきました。梱包作業やSNSまわりを他に委託しているせいで、自分の細かいこだわりを伝えきれなかったり、手のこもった発送が出来なかったり、書店様との丁寧なコミュニケーションが不足しているなと感じたり、「手が届いていない」と感じることが凄くあります。初期に大切にしていたことが、効率化を重視するあまりに失ってしまっている、という大きな課題です。なので、そこを取り戻していきたいし、両立を図りたいな、と考えています。


 

インターン生A)現在最も力を入れていることについて教えてください。


竹井)モットーみたいなものがあって、「消費される本を絶対に作らない」ということです。例えば読んですぐ終わるとか、実用書に多いように利便性や答えを目的として読んで、読後は忘れたように本棚に置いておかれるとか、そういう本ではなく、何度も読んで何度も咀嚼される本を作りたいんです。なので、「噛み応えのある本にする」ということを非常に大切にしています。

また、「出すからには必ず売る」というのもモットーでして、自分の価値観と照らして「絶対に売れるだろうな」と確信が持てたら売り出すということを大切にしています。


 

インターン生A)出版社ブルーモーメントは本の廃棄0という目標を掲げていますが、その理由や取組について教えてください。


竹井)これは何かを作ったことがある方であれば共感していただけると思うのですが、本に作品としての魂が宿っている気がするんです。なので、大量に本を刷って廃棄するというのにはどうしても抵抗を覚えますし、どうしても沢山こだわりの詰めた本を自分で見捨てることができないんです。なので、できるだけボロボロになって返品されてきた本も生まれ変わらせてお客様の下に届けるようにしています。

それを実現するための具体的な取り組みが2つありまして、1つ目は「そもそもできる限り返品を出さない」という取り組みです。書店様への押売り営業は絶対にしないと決めていて、「売りたい」「置きたい」と思って頂ける書店様にしか出荷していません。2つ目は、それでもどうしても戻ってきてしまった本を、カバーや帯をかけ替えて、メルカリで6〜7割程度(2024年2月現在)のお値段で出品する、という取り組みです。公式でメルカリを運用する意図としては、中高生などの若年層に本を購入していただくハードルを下げるという目的があります。私も高校生・大学生時代あまり裕福ではなく、本を好きなように購入できるような余裕がなかったという経験があるので、そういった方々にも本を届けたいという想いがありつつも、やっぱり出版社として事業を続けていく必要性との兼ね合いがある。その中で、メルカリで本を2次流通させることで、若年層にも本を届けるという目的を達成していきたいと考えています。また、本へ書き込みをしたいという方にも、是非書き込み用の2冊目としてメルカリでご購入いただけたらな、とも思っています。


3)これからの出版社ブルーモーメント


インターン生A)出版社ブルーモーメントの目標について教えてください。


竹井)ブランドコンセプトと被るところも多いのですが、「本を読む所作や空間まで美しく彩りたい」という目標があるので、それを実現していくための事業を出版社ブルーモーメントとして展開していきたいと考えています。なので、最終的な目標としては、「出版社ブルーモーメントに囲まれた空間」を作りたいと考えています。

また、コスメブランドと共通して持っている目標は、「クリエイターさんへの還元」です。母のような作家さんや、本の装丁を作って頂いているデザイナーさんへ向けての還元をしていきたいな、と強く思っています。現在クリエイターさんへの還元率を業界平均より1.3倍にしたり、デザイン料を高めたりという試みを行っています。こうした試みを全体として行っていける出版社になりたいな、という目標を持っています。


 

インターン生A)定期的にポップアップなどが開催されていますが、今後やってみたいイベントなどはありますか?


竹井)昨年本とコラボでアフタヌーンティーを開催出来て、本とアフタヌーンティーセットのルームプランを選択されたお客様が「初めて1人で旅行に来て、初めて本を読みながらアフタヌーンティーを楽しめました」とおっしゃってくれたことが凄く嬉しかったんです。なので、本を読む空間とのコラボや、より本を読むという時間を豊かにするようなイベントを開催していきたいなと考えています。





ありがとうございました!「出版社ブルーモーメントに囲まれた空間」…。どんなものになるのか非常に楽しみです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。出版社ブルーモーメントに込められた想いや、これからの目標が少しでも伝われば幸いです。これからも、出版社ブルーモーメントをどうぞよろしくお願いいたします。 ーー(出版社ブルーモーメント一同)





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